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キュービクル・盤の猛暑対策!
トラブルを未然に防ぎ、機器の寿命を延ばす方法

1. 猛暑に備える!キュービクル・盤の暑さ対策が今すぐ必要な理由

日本は夏の暑さが厳しくなっており、2025年には一部のエリアで40℃を超えたエリアもあります。今回テーマとしている、工場やビルに設置されている高圧受電設備の要となるキュービクルや盤は気温の上昇が内部機器に影響を与えるため、深刻な課題となっています。

近畿工場・建屋工事・メンテナンスセンターでは、こうした状況に対し、早期の対策が電気機器の寿命延長と設備の安定稼働に不可欠であると認識しています。本来であれば、猛暑が本格化する前に、春から初夏にかけて対策を講じることが極めて重要ではありますが、今からでも遅くはありません。8・9月と猛暑が続く期間にトラブルリスクを低減し、計画的な運用を維持するための施策についてお伝えいたします。

2. 熱が電気機器に与える深刻な影響:故障率と寿命の関係性

そもそも、キュービクルや盤になぜ暑さ対策が必要なのか?それは、高温が電気機器に与える悪影響にあります。電気機器や制御装置が高温にさらされると、その寿命が短縮され、不具合が発生しやすくなります。

一般論とはなりますが、この熱と電気機器の寿命の関係性を裏付けるのが、「アレニウスの法則」と「10℃2倍則」です。

まず、アレニウスの法則とは、熱と電気機器の寿命の関係性を示す法則です。具体的には、周囲の環境温度が10℃上昇するごとに故障率も加速度的な上昇を伴うというもので、一例をあげると、使用環境温度が40℃の時の故障率を「1」とした場合、キュービクルや盤の内部温度が20℃上昇(使用環境温度60℃)した時点で故障率は「10倍以上」に跳ね上がります。実は、キュービクルの内部というのは機器自体から発生する熱や外気温、周辺温度の影響を受けて50℃以上に達することも珍しくありません。このような高温状態が続けば、故障率が大幅に増大する危険性があり、これを示すのがアレニウスの法則です。

次に、10℃2倍則とは、制御機器や通信機器の寿命と温度の関係性を示す法則です。これは、使用環境温度が10℃低下するごとに電気機器の寿命が「2倍」に延びるというものです。言い換えれば、使用環境温度が10℃上昇すれば、電気機器の寿命は半減してしまうことを意味します。例えば、使用環境温度が40℃で「4万時間」の寿命を持つ機器があったとします。もし、その使用環境温度が60℃にまで上昇すると、温度変化は20℃(10℃の2倍)となり、寿命は4倍、つまり4分の1の「1万時間」にまで短縮される可能性があるというものです。

これらの法則が示すように、キュービクルや盤の内部温度を適切に管理することは、機器の長寿命化と安定稼働のために不可欠な対策であるといえるのです。

3. キュービクル・盤の具体的な熱対策方法

近畿工場・建屋工事・メンテナンスセンターでは先の法則等を踏まえて、キュービクルや盤に対する温度管理および熱さ対策は様々な方法をご提案しています。新設・既設や、お客様の使用環境や稼働条件などを含めて適切な環境の提案が必要であるため、すべて環境に適した対策はありませんが、以下に効果がみられている具体的な対策方法を提案します。

  • 盤への対策 
  • 盤の内部温度を抑制するためには、いくつかの具体的な対策があります。いくつか例を挙げるとすると、換気孔(ルーバー付き)の取り付け、内部温度を視覚的に確認できるサーモラベルの使用、太陽熱の吸収を抑えるための盤の淡色系の選定、直射日光の影響を軽減する遮蔽板付きのキャビネットの選択、そして、積極的に内部を冷却する盤用クーラーの設置です。制御盤クーラーはキュービクルの規模や仕様に応じて適切な製品が異なるため、当社にご相談ください!
  • 涼しい場所への設置
  • キュービクル内部の温度上昇の大きな要因の一つは、周辺環境の高温状態です。新設の場合では、キュービクルを涼しい場所や炎天下を避けられる場所に設置することを推奨しています。太陽光は窓ガラスやサイディングなどで反射されることもあるため、直射日光が当たらずとも反射光が当たるような場所も避けることが重要です。
  • 基礎・庇(ひさし)の設置で遮熱
  • 直射日光を避けられない屋外にキュービクルを設置する場合は、日除けの庇などを設置することが熱対策の一つです。また、地面からの熱伝導を回避するため、コンクリートなどの基礎を設けて地熱を遮熱する対策も有効です。
  • 断熱塗料の塗布
  • キュービクルそのものの断熱性を高めることも非常に有効な熱対策です。当社でご提案しているものとしては、断熱効果を発揮できる塗料(断熱塗料)の使用があります。断熱材料メーカーや塗料メーカーから様々な製品が販売されており、盤内の受光面へ断熱材を追加したり、地面からの太陽光の照り返しを受けやすい部分に断熱塗料を塗布して、間接的な熱影響を回避したりする方法もあります。キュービクル設置後に遮熱塗料を塗るケースもあるので環境に合わせたご提案が可能です。
  • 通気口・換気扇の設置
  • 空気は一度熱されると冷めにくく、キュービクル内部に高温の空気が蓄積すると、さらに温度上昇が進みます。そのため、キュービクル内部の温まった空気を排出し、涼しい空気を取り込むための通気口や排気口を設けることも効果的であるといえます。外気温が高いとはいえ、内部温度が50℃に達することもあるキュービクル・盤内部と比較すれば外気は低い温度であるため、換気をすることも有効です。さらに、温度サーモ付きの換気扇を設置することで、内部温度に応じて自動的に換気を行い、効率的に温度を管理できます。

4.熱対策が不十分だった場合のトラブルと老朽化のサイン

熱対策が不十分な状態が続くと、キュービクルや盤はさまざまなトラブルを引き起こすリスクが高まります。

直接的に温度上昇が原因でなくとも、適切な環境管理ができていなかったために発生したトラブル事例もいくつかあります。例えば、風雨や湿気の浸入による絶縁低下や短絡事故は、適切な換気や温度管理、あるいは密閉性が不足していた場合に発生しやすくなります。特に、経年劣化により絶縁が低下し、最終的に短絡焼損事故に至るケースや、埃の堆積と湿気による絶縁低下も指摘されており、これらは熱対策だけでなく、総合的な環境管理の重要性を示唆しています。

また、高圧受電設備の老朽化にも注意が必要です。一目でわかる老朽化のサインとしても下記が挙げられます。

  • キュービクルが錆びている
  • 箱が錆びてボロボロになっている
  • 穴が空いている
  • トランスから油が漏れている

これらのサインが見られる場合、キュービクル内部の機器も同様に劣化している可能性が非常に高く、熱による影響も複合的に絡んでいる場合があります。このような状態を放置することは、重大な事故や停電に直結するリスクがあるため、早期の点検と適切な対策が必要です。

5.安定稼働のために!キュービクル・盤の熱さ対策・診断サービス

キュービクルや盤の適切な温度管理、すなわち暑さ対策が、高圧受電設備の健全な運用と長期的な寿命延長に不可欠であるといえます。猛暑が本格化する中でも十分に対策は可能であり、すこしでも早い対策が機器の故障リスクを低減し、予期せぬ停電を防ぎ、お客様の事業活動における安定した電力供給を維持することにつながり、大きなトラブルが発生する前に行うことが投資という視点でも重要です。

近畿工場・建屋工事・メンテナンスセンターでは過去の実績をもとに、お客様のキュービクル・盤の現在の状況と設置環境を詳細に調査し、それぞれに最適な熱さ対策・診断サービスを提供しています。また老朽化のサインが見られる設備の点検や、トラブル発生時の迅速な対応も近畿工場・建屋工事・メンテナンスセンターにお任せください。

お客様の安心・安全な電力供給を全力でサポートすることをお約束します。

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