落雷や停電から大切な機器を守る
夏のゲリラ豪雨や落雷、冬の積雪など、自然災害による「突然の停電」や「雷サージ(異常な過電圧)」は、パソコンやサーバー、家電製品にとって致命的なダメージを引き起こす原因となります。
そんな万が一の電源トラブルから機器を守ってくれるのが、「UPS(無停電電源装置)」と「SPD(サージ防護デバイス)」です。名前は似ているようで、実は全く異なる役割を持っています。今回は、それぞれの仕組みと違い、そしてなぜ両方が必要なのかを分かりやすく解説します。

UPS(Uninterruptible Power Supply)は、日本語で「無停電電源装置」と呼ばれます。簡単に言えば、「電気が止まったときに、代わりに電気を供給してくれる巨大なバッテリー」です。
💡 UPSの主な役割:データの保護と安全なシャットダウン
デスクトップパソコンやNAS(ネットワークHDD)、サーバーなどは、急に電源が切れるとハードディスクが物理的に破損したり、システムファイルが壊れたりする危険があります。UPSがあれば、停電が発生しても数分〜数十分間は電力を維持してくれるため、その間に落ち着いてデータを保存し、安全に電源を落とすことができます。
一口にUPSと言っても、内部の電力供給方式によっていくつかの種類に分かれます。導入時には以下の違いを押さえておくと、機器選定の精度が上がります。
サーバー室や生産ラインの制御盤など「一瞬の瞬断も許されない設備」には常時インバータ給電方式、コストと性能のバランスを取りたいオフィス機器にはラインインタラクティブ方式、というように用途に応じた使い分けが重要です。
SPD(Surge Protective Device)は、「サージ防護デバイス」や「避雷器」とも呼ばれます。こちらは停電ではなく、「雷などによって電線から一気に流れ込んでくる異常な高電圧(雷サージ)をブロックする装置」です。
💡 SPDの主な役割:過電圧による機器の物理的破壊を防ぐ
雷が落ちると、直接落ちなくても周辺の電線や通信ケーブルを伝って、数千〜数万ボルトの異常電圧がコンセントから建物の中に侵入します。これが「誘導雷サージ」です。精密機器は少しの過電圧でも回路が焼き切れてしまうため、SPDを設置して異常電圧を大地(アース)に逃がす必要があります。
SPDはJIS規格(JIS C 5381-11ほか)によって、設置場所や役割に応じてクラスI・II・IIIに分類されています。それぞれ担う役割が異なるため、原則として組み合わせて多段階に設置することが推奨されています。
このように、SPDは1台だけで完結するものではなく、「引込口 → 分電盤 → 末端機器」という多段階の防護によって、雷サージのエネルギーを段階的に減衰させていくのが基本的な考え方です。特に分電盤へのクラスII設置は、費用対効果の面からも最初に検討したいポイントです。

それぞれの役割を項目ごとにまとめました。
ここまで読んで、「どちらか片方があればいいのでは?」と思った方もいるかもしれません。しかし、実際の落雷事故では以下のような連鎖がよく起こります。
【雷によるトラブルの連鎖】
① 近所に落雷が発生し、異常な高電圧(サージ)がコンセントから侵入する
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② その直後、送電網がストップし、停電が発生する
もしUPSしか設置していなかった場合、①の雷サージによってUPS自体や接続されたパソコンが物理的に破壊され、その後の停電時にバッテリーが作動しない可能性があります。(※一部のUPSには簡易的なサージ保護機能がついていますが、大規模な雷サージには耐えきれないことがあります)
まとめ:大切な資産を守るためのステップ
まずは分電盤(ブレーカー)や重要なコンセントに「SPD」を設置して、外からの雷サージ(破壊的な高電圧)を強力にブロックします。その上で、内部の重要機器(サーバーやPC)の電源には「UPS」を挟み、停電時のデータ消失を防ぎます。
SPDで物理的な破壊を防ぎ、UPSでデータの消失を防ぐ
この二段構えこそが、現代のビジネスや重要なインフラ環境における正しい落雷・停電対策です。この機会に、ご家庭やオフィスの電源環境をぜひ一度見直してみてはいかがでしょうか。