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ホイストクレーンの点検完全ガイド|年次・月次・作業前点検の内容と法的義務を解説

「ホイストクレーンの点検って、何をどのくらいの頻度でやればいいの?」「自分で点検してもいいの?業者に頼むべき?」——クレーンを使っている工場・倉庫の担当者から、こうしたご相談をよくいただきます。

ホイストクレーンは労働安全衛生法によって定期自主検査(年次・月次)と作業開始前点検が義務付けられており、点検を怠ると法令違反になるだけでなく、重大な労働災害につながるリスクがあります。

この記事では、ホイストクレーンの点検・メンテナンスに関する法的義務・点検内容・記録方法・よくある不具合まで、実務担当者が知っておくべき情報を網羅的に解説します。大阪・兵庫・奈良・京都・和歌山など関西エリアで使用されている設備の管理担当者の方は、ぜひ最後までご覧ください。

ホイストクレーンの点検が法律で義務付けられている理由

ホイストクレーンは、重量物を空中で移動させる設備です。ワイヤーロープの断線・ブレーキの不具合・走行装置の異常などが発生した場合、荷物の落下や装置の暴走により、作業者が死傷する重大事故につながります。

こうした事故を防ぐため、労働安全衛生法第45条およびクレーン等安全規則(クレーン則)によって、事業者には定期的な自主検査の実施が義務付けられています。

重要:点検義務の対象範囲
吊り上げ荷重0.5t以上のクレーン(ホイストクレーン含む)はすべて法定点検の対象です。
「3t未満だから大丈夫」「小型だから関係ない」は誤りです。0.5t以上であれば義務があります。

ホイストクレーンの点検の種類と頻度

法令で定められた点検は、大きく3種類あります。それぞれの頻度と目的を正しく把握しておきましょう。

① 年次点検(定期自主検査)|1年に1回以上

クレーン則第34条に基づき、1年以内ごとに1回の実施が義務付けられています。年次点検は点検項目が多く専門的な知識が必要なため、多くの企業が外部の専門業者に依頼しています。

点検が終わったら記録を3年間保存することが義務付けられています(クレーン則第36条)。

年次点検の主な点検項目(クリックで開く)

【構造部分】
・ガーダー(主桁)・サドル・エンドビームの変形・亀裂・腐食の有無
・ランウェイ(走行レール)の状態・固定ボルトの緩み

【機械部分】
・巻上装置(ドラム・ギヤ・ブレーキ)の異常の有無
・横行装置・走行装置の車輪・レールの摩耗状態
・フックの変形・亀裂・摩耗の有無
・フックの外れ止め装置の機能

【電気部分】
・電動機・制御器・配線・集電装置の異常の有無
・過負荷防止装置・巻過防止装置の機能確認
・アース(接地)の状態確認

【ワイヤーロープ・チェーン】
・素線の断線数・直径の減少・変形・腐食の有無
・ドラムへの巻き乱れ・端末固定状態の確認

【安全装置】
・巻過防止装置・過負荷警報装置・非常停止装置の動作確認

② 月次点検(月例自主点検)|1ヶ月に1回以上

クレーン則第35条に基づき、1ヶ月以内ごとに1回の実施が義務付けられています。年次点検に比べると項目は少なく、社内の担当者が実施するケースも多いですが、点検の実施と記録の保管は確実に行う必要があります。

月次点検の主な点検項目(クリックで開く)

・巻上装置・横行装置・走行装置の動作確認(異音・振動の有無)
・ブレーキの効き具合の確認
・ワイヤーロープ・チェーンの状態確認(断線・摩耗・腐食)
・フック・外れ止め装置の状態確認
・警報装置・非常停止装置の動作確認
・コントローラー・スイッチ類の動作確認

③ 作業開始前点検|使用する日の作業前に毎回

クレーン則第36条に基づき、その日の作業を開始する前に点検を行うことが義務付けられています。項目は月次点検よりシンプルですが、毎回の実施と記録が必要です。

作業開始前点検の主な確認事項は以下の通りです。

  • 巻上・横行・走行の各動作が正常か
  • ブレーキが正常に作動するか
  • ワイヤーロープ・チェーンに目立った異常がないか
  • フック・外れ止め装置に異常がないか
  • 警報装置が正常に鳴るか

点検記録の保存義務と記録表の作り方

3種類の点検はいずれも、実施後に記録を作成・保存することが義務付けられています(クレーン則第36条)。記録の保存期間は3年間です。

記録の書式に法定フォーマットはありませんが、以下の項目を含めることが必要です。

点検記録表に含める主な項目
・点検実施日
・点検者氏名
・設備名・機番・設置場所
・点検項目ごとの結果(良・否・処置)
・不具合がある場合の処置内容・処置日
・次回点検予定日

「ホイスト クレーン 点検表 エクセル」で検索される方が多いですが、厚生労働省の公式サイトや機器メーカーのサポートページで参考様式が公開されています。自社でカスタマイズして使用することも可能です。

ホイストクレーンのワイヤーロープ交換の目安と手順

ホイストクレーンのメンテナンスの中でも特に重要なのが、ワイヤーロープの交換です。ワイヤーロープの劣化を見逃すと、荷物の落下という重大事故に直結します。

ワイヤーロープの交換基準(法令上の廃棄基準)

クレーン則第22条により、以下のいずれかに該当するワイヤーロープは使用禁止(廃棄)となります。

ワイヤーロープの使用禁止基準
① 1よりの間で素線(シース)の断線数が10%以上
② ワイヤーロープの直径の減少が公称径の7%を超えるもの
③ キンク(よじれ・折れ癖)があるもの
④ 著しい変形・腐食があるもの
⑤ 熱の影響を受けたもの

ワイヤーロープ交換の一般的な手順

ワイヤーロープの交換は専門知識が必要な作業です。以下は作業の大まかな流れです。実際の交換は専門業者への依頼を推奨します。

  1. 電源を遮断し、作業区域を立入禁止にする
  2. フックを最下点まで下げ、旧ワイヤーロープの端末固定を外す
  3. ドラムから旧ワイヤーロープを取り外す
  4. 新しいワイヤーロープをドラムに固定し、正しく巻き付ける
  5. 端末を所定の方法で固定する(クリップ止め・くさび式など)
  6. 試運転・動作確認を実施する
  7. 交換記録を作成・保管する

3t未満のホイストクレーンの点検義務について

「3t未満の小さいホイストだから点検義務はないだろう」と思われている方が多いですが、これは誤解です。

クレーンの定期自主検査(年次・月次)の義務は、吊り上げ荷重0.5t以上のすべてのクレーンに適用されます。3tという数字が基準になるのは、クレーン運転士の資格要件(5t以上は免許が必要、0.5t〜5t未満は特別教育で可)などの場面であり、点検義務の免除基準ではありません

0.5t以上であれば吊り上げ荷重がいくらであっても、年次点検・月次点検・作業開始前点検はすべて義務です。

点検・メンテナンスを怠った場合のリスク

点検義務を履行しなかった場合のリスクは、法的リスクと安全リスクの2つがあります。

法的リスク

定期自主検査を実施しなかった場合、労働安全衛生法第120条により、50万円以下の罰金が科される可能性があります。また、労働基準監督署の立入調査で是正指導を受けるケースもあります。

安全リスク

点検不備が原因でクレーン事故が発生した場合、事業者・管理者の業務上過失致死傷罪が問われる可能性があります。また、労災認定・民事賠償責任も発生します。

自社点検と専門業者への依頼、どちらがよい?

月次点検・作業開始前点検は、一定の知識を持つ社内担当者が実施することも可能です。ただし、年次点検については、専門的な測定機器や技術知識が必要な項目が多く、外部の専門業者への依頼が現実的です。

業者に年次点検を依頼するメリット
・専門的な測定・診断が可能
・点検記録の作成を代行してもらえる
・不具合が見つかった場合にその場で対処できる
・万一の事故時に「専門業者が実施した」という記録が証拠になる

なお、年次点検を行う業者には特定の資格要件はありませんが、クレーン・デリック運転士やクレーン安全規則に精通した業者を選ぶことが重要です。

ホイストクレーンの年次点検・工事のご相談はお気軽に

大阪・兵庫・奈良・京都・和歌山の関西エリア全域に対応しています。

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まとめ

ホイストクレーンの点検・メンテナンスについて、この記事では以下のポイントを解説しました。

  • 吊り上げ荷重0.5t以上のホイストクレーンはすべて法定点検の対象
  • 点検の種類は「年次点検(年1回以上)」「月次点検(月1回以上)」「作業開始前点検(毎回)」の3種類
  • 点検記録は3年間の保存義務がある
  • ワイヤーロープは素線断線数・直径減少・キンク等の基準を超えたら使用禁止
  • 3t未満でも点検義務は免除されない
  • 点検を怠ると50万円以下の罰金・刑事責任・民事賠償のリスクがある
  • 年次点検は専門業者への依頼が現実的

ホイストクレーンの設置工事については
ホイストクレーンの設置工事とは?種類・費用・工程を解説」を、
法令・届出の詳細については
ホイストクレーンに関する法律・届出ガイド」もあわせてご覧ください。

この記事の監修

関西ファクトリー・ビルメンテナンスセンター 設備管理部

大阪・兵庫・奈良・京都・和歌山を中心に、ホイストクレーンの新設・移設・点検・修理を手がける専門チームです。労働安全衛生法・クレーン等安全規則に基づく法定点検から緊急対応まで、関西エリアの工場・倉庫の設備管理をサポートしています。

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